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2024.02.22
コラム

段ボールケースグルアー用接着糊について ~中川商会としてできること~

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
今回のコラムは、営業第2グループが担当させて頂きます。

段ボール業界のイノベーターに!必見!営業第2グループ」では、営業第2グループの活動内容についてご紹介させて頂きました。
今回は、そのコラム中では触れることが出来ていなかった段ボールケース製造最終工程(製函)の貼り加工(グルアー)用接着剤について接着に必要な原理から選定方法まで記載します。
弊社では、長年の経験・ノウハウを活かし、お客様の生産状況に合わせた段ボールケース製造用グルアー糊をご提案しております。今回は製函機を用いた製函工程用で使用するグルアー糊をご紹介させて頂きます。

目次

1.はじめに
2.接着メカニズム
3.接着の前提条件
4.接着剤の選定
5.まとめ

1.はじめに
昨今の段ボール製品の技術進歩はめざましく各種表面加工(撥水、耐水)を施した紙が幅広く使用されています。しかし、強撥水(耐水)シートの製函では、接着剤の可使範囲(接着剤の種類)、シートの撥水度・特に自家撥水の場合のばらつき(表面加工の方法やムラ)、グルアーマシンから受ける影響(塗布機構、貼合速度)等を考慮し接着を理解し、接着剤を選択する必要があります。

2.接着メカニズム
接着とは①:

  • 接着剤が液体であること
  • 被着体をぬらすこと
  • 接着過程を固化すること

接着の原理から言えば、接着剤と被着体はその分子間力の及ぶ範囲に接近していなければなりません。ここで「ぬれ」ということが大事になります。
相性が良く、馴染みが良い時に「ぬれ」が起こり、そこに分子間力が働き接着が可能になります。被着体の表面をぬらして拡がった後、固まって初めて接着が完了します。

また、接着のプロセスとして最終的な破壊に至る領域、接合部(被着体)の設計、接着剤の選択及び接着工程の管理によって支配されます。

※ぬれ…液体を個体に接触させたとき、その接触する端が作る角度でぬれ易さをはかる。角度が小さい程良くぬれていることになり、接着しやすいといえます。
※固化…表面をぬらした接着剤(グルアー糊=エマルジョン)は水の蒸発によって固化します。

ダイセルミライズ㈱様資料より引用

接着とは②:
接着とは「接着剤を媒介とし、化学的もしくは物理的な力またはその両者によって2つの面が結合した状態」のこと。

接着のメカニズムについて簡単には、

  • 機械的結合
  • 物理的相互作用
  • 科学的相互作用

ダイセルミライズ㈱資料より引用

◆機械的結合:アンカー効果とか投錨効果とも言われ、材料表面の孔や谷間に液状接着剤が入り込んで、そこで固まることによって接着が成り立つという考え方です。
接着剤が被着体の表面にある空隙に浸入硬化し、釘または楔のような働きをすることをいう。ファスナー効果とも言う

◆物理的相互作用:分子間(引)力と言われるもので、あらゆる分子の間の引き合う力(ファン・デル・ワールス力)をいい、2次結合力ともいって接着剤の基本的な原理とされています。

◆科学的相互作用:1次結合力といって最も強い接着力が期待される共有結合や水素結合をいいます。
即ち「接着」とは、機械的な引っ掛かりや分子間力、原子間力によって成り立っており、そのどれかに原因を絞り込むことができない複雑さを持っています。
接着のメカニズムのより細かい内容は下記の図をご確認ください。

3.接着の前提条件
接着のメカニズムとして、接着剤がよくぬれる・アンカー効果を得る・密着性が必要となりますが、接着剤にこれらの機能を発揮させるためには製函時に下記条件を満たしていることが重要です。

  • 塗布量
  • 圧締時間
  • 環境温度

◆塗布量:目安としては、糊代全体が真っ白く盛り上がる程度塗布(適正塗布量約80g/㎡以上)されていること。一般段ボールには表面処理がないため、接着剤がシートに対しよくぬれると共にアンカー効果が発現します。しかし、撥水用接着剤には、撥水ダンボールの表面加工を侵す効果があります。また、接着剤の塗布量が減るとその効果が薄れ、本来の機能の発揮されなくなります。

また、接着剤中の水分が紙に吸収されて接着が始まることを考えれば、塗布量が少なくなる程、接着が速くなると想定されます。

◆圧締時間:段ボールシートに接着剤を塗布し、貼合後、どの機械も圧力をかける設備が有ります。この圧力は特に撥水段ボールを接着する場合、水を弾く紙表面に接着剤を含侵させるための、非常に重要な役割を持っています。

夏期:20秒程度
冬期:40秒程度
※目安

◆環境温度:5℃より上であること ※目安

4.接着剤の選定とは
長年にわたりお客様と共に成長を遂げてきた中で、初期接着性や撥水及び耐水段ボールへの接着適正など、一般的に基本機能はもちろんのこと、水を溶媒とした安全性の高い接着剤を用いて環境に配慮しつつ、弊社ではご選定をさせて頂いております。下記に基本的な選定方法を記載します。

塗布機構に適合したものを選定

・循環ポンプ式・・・低中粘度品

・糊ポット式・・・・低中粘度品

・自然落下式・・・・高粘度品

・ノズル式・・・・・低粘度品

貼合スピードに適合したものを選定

・貼合スピードが高速の場合・・・接着剤も速乾性タイプ

・貼合スピードが低速の場合・・・接着剤も乾燥速度の遅いタイプ

段ボールシートの種類に適合したものを選定

・一般シート・・・酢酸ビニル樹脂

・撥水シート・・・変性酢酸ビニル樹脂

5.まとめ
今回は、段ボールケース製造の最終工程(製函)と呼ばれている工程の貼り加工(グルアー)用接着剤についてについて記載しました。お客様の生産環境の変化・段ボールケース生産時に起こりうる問題点の解決および生産性向上に向けての糊の選定などに対して、中川商会営業第2グループは最適な方法をご提案します。

ご興味のある方は、下記連絡先までご連絡お待ちしております。

 

お問い合わせ先:営業第2グループ  担当:大地、見玉、塩谷
TEL:052-201-2471
FAX:052-201-2476
HPからのお問い合わせはこちらから

今回も最後までお読み頂き、誠に有難う御座いました。